Visteon

01 要約

Visteon社は、世界中に工場を持つ、自動車セグメントの最大のグローバルサプライヤの1つです。屋内物流は、生産プロセスにおける重要な役割の1つであり、そのため、資材搬送の最適化は企業戦略の不可欠な部分です。現在、スロバキアのNámestovoにあるVisteonを含め、世界中の7つの生産施設でMiRの移動ロボットが使用されています。

02 問題

Visteon Electronics Slovakia社（以下、Visteon）は、フォルクスワーゲン、シュコダオート、BMW、フォード、シトロエンなど、いくつかのOEM自動車メーカー向けにコックピットデスクを製造しています。同社は、1日あたり10,000台のコックピットデスクの生産能力を持ち、3シフト制で働く700人の従業員を雇用して、年間200万台を超える製品を提供しています。

03 手作業から自動化された屋内物流へ

ほとんどの業界と同様に、自動車業界の企業も世界規模で多くの競争に直面しており、自動車部品サプライヤは、時間通りに、高品質で、コスト効率の高い納品を求めるOEMの要求の圧力を常に受けています。特定の品質、量、特定の時間に資材を供給することは非常に複雑であり、最大限の精度と柔軟性が必要です。Visteonでは、標準の電子情報を倉庫に送信し、要求された資材を即座に製造現場に配送することでこれを実現しています。

数年前、同社は人間の作業員が操作する手動パレットリフトを使用していましたが、磁気ストリップでナビゲートされる無人搬送車（AGV）システムによって置き換えられました。しかし、AGVは、生産レイアウトとインフラを変更する必要がある場合に、多くの時間とコストを必要とします。インダストリー4.0に適していて、新しい生産セルを一定のペースで導入しなければならない、アジャイルで柔軟な作業環境に対応したシステムによって、このプラットフォームがすぐに置き換えられることは明らかでした。したがって、Visteonは自律移動ロボット（AMR）の技術を検討し始めました。   

「私たちが移動ロボットを検討し始めた理由の1つは、私たちの業界の未来を表す新しいインダストリー4.0でした」と、Visteon Electronics Slovakiaの産業エンジニアマネージャであるRichard Čiernik氏は述べています。

 「この時点から、MiRはVisteonの屋内物流のグローバル標準となったため、MiRの技術は私たちにとって理想的なソリューションでした」

3つの異なる作業、4台のMiR200ロボット

「他の成功している企業と同様に、当社も製造効率と労働生産性を継続的に評価しています。MiRテクノロジーは、手作業による材料のA地点からB地点への移動を不要にすることで、私たちの取り組みを大きくサポートしてくれます。当施設では、現在4台のMiR200を保有し、3つの異なる作業に使っています。PCB（プリント基板）のSMTラインへの供給、廃棄物の回収、完成したプラスチック部品の搬送です」と、Richard Čiernik氏は述べています。

2台のMiR200ロボットは1時間ごとに、空のPCB基板を9つの自動SMTラインに届け、そこで基板に電子部品を実装しています。さらに、1台のロボットは、作業員がロボットの上に置いた廃棄物を回収して、作業場の無駄を省いています。4台目のロボットは、射出成形施設で働いており、3台の生産機械にオンデマンドでサービスを提供しています。作業員は、タブレット端末にあらかじめ設定されたボタンを押すだけで、簡単にロボットを呼び出すことができます。すべての物流業務は、統合倉庫管理システム（WMS）と連携して管理されています。   

移動ロボットは現在、週5日24時間体制で使用されており、固定ラックと、ROEQ社がMiR移動ロボット用に特別に設計したモジュールである着脱式カートの2種類のトップモジュールが配備されており、搬送物を容易に操作することができます。カート用のトップモジュールには、カートの回収・放出が可能なクリックイン機構が採用されています。

完全自律動作

MiRの移動ロボットは、製造施設内で完全に自律的に動作し、Wi-Fiモジュールを使用してドアを開け、トンネル内を移動し、障害物を回避し、決められた位置で停止し、自動的に再充電することができます。ロボットは、障害物が発生した場合に定義されたルートを評価し、人の干渉を必要とせずに常に最適なルートを選択することができます。さらに、MiR200ロボットは、静電荷（ESD）に対する保護を要求している電子部品製造の規格に準拠しています。

Visteonの作業員は移動ロボットを歓迎しました。当初は安全上の問題が少し心配でしたが、ロボットが走行するのを見て、そして人間を認識して適宜、走行し直せることを確認した後、作業員はすぐにロボットを引き取りました。作業員は、付加価値が低く、単調で大変な作業から自分たちを解放してくれるという点で、ロボットの利点を実感しました。使いやすさ、プログラミングのしやすさ、物流業務の柔軟性の向上により、作業員とMiRロボット間のスムーズな協働が実現します。

「MiRのロボットによって、主に2つの面で労働に関連するメリットが得られます。まず、単純で単調な作業はロボットが行えるようになったので、私たちにとってコスト削減になります。次に、人間工学の観点からも、作業者自身がきつい肉体労働をしなくても、正確な時間に快適に材料を供給してもらえるのは非常に便利です」とRichard Čiernik氏は述べています。 

1年以内に投資回収

製造オペレーションの観点から、MiRのロジスティクス・ソリューションには3つの主な利点があります。第一に、このソリューションには柔軟性があります。これによって、Visteonはレイアウトの変更を最小限に抑えながら、複数の製造現場のさまざまな用途で同じタイプのロボットを使用できるようになるのです。第二に、迅速な導入。これは、プログラミングのスキルや知識がなくてもロボットをすばやくプログラミングできるという使いやすい機能によって促進されます。どんなアプリケーションでも、機能的で視覚的に魅力的なグラフィカル・インターフェースでプログラミングや微調整ができるため、プログラミング作業は、非常に簡単に実行できます。そして第三に、ロボットはすべてのエンドユーザーにとって使いやすく直感的です。生産現場の作業員は、ボタンを1回クリックするだけでロボットの到着を要求できます。    

しかし、Visteonで新しいテクノロジーに投資するときに最も重要なのは、収支の結果です。「当社の基本的なルールとして、生産設備への投資は遅くとも1年以内に回収しなければなりませんが、MiRロボットはこの条件を満たしています。私たちは、MiRのさらなる活用による共同の未来を楽しみにしています」とRichard Čiernik氏は締めくくりました。   

近い将来、Visteon Electronics Slovakia社は、既存の移動ロボット群をより多くの機器に広げ、特に廃棄物回収、材料供給、完成品の搬送などの用途に使用しようとしています。これらの計画は、VisteonでMiRロボットを使って実証された成功体験に基づいています。

04 Visteon社について

Visteonは、業界で最も幅広いコックピットエレクトロニクスのポートフォリオを持ち、コネクテッドカーによる運転革命の震源地となっています。Visteonは、運転者と同乗者に豊かな接続体験を提供する車両コックピットエレクトロニクス製品とコネクテッドカー・ソリューションを開発、設計、製造しています。Visteonは、Phoenix™インフォテインメント、SmartCore™ドメインコントローラ、および人工知能や機械学習を利用した自動運転へのアプローチなどのソリューションにより、コックピットエレクトロニクスの新しいトレンドに対応できる位置にいます。ABIリサーチ社からコネクテッドカー・ソリューションのトップ5のTier 1サプライヤに選ばれたVisteonは、技術主導型で柔軟性があり、多様な顧客基盤を持ち、幅広いグローバル展開を行っています。詳しくは、www.visteon.comをご覧ください。