Bossard社のスマートファクトリー・ロジスティクス
MiR移動ロボットは、Bossardスマートファクトリー・ロジスティクスでの屋内ロジスティクスの革新を可能にする
01 要約
生産のどの工程で効率が落ちるのでしょうか?締結部品業界のグローバルリーダーであるBossard社に聞いてみると、その答えは「屋内物流」だと答えるかもしれません。そこで、Bossard社が注力しているのが、同社の3つのコアビジネスの1つである「スマートファクトリー・ロジスティクス」であり、そこでは、ロボットの安全性、柔軟性、使い勝手の良さなどの特徴から、2台のMiR100移動ロボットが採用されています。ロボットは、倉庫、ラボ、作業ステーション間で資材を搬送するために使用され、これにより「ラストマイル管理」に焦点を当てた屋内ロジスティクスに新しい価値が追加されます。
02 問題と解決策
インダストリー4.0の時代を迎え、多くの産業メーカーが大規模な自動化生産革命に積極的に参加しています。自動管理や効率向上のニーズが徐々に高まってくると、人と機械のコラボレーションの多様なシナリオが出現し、生産性向上のソリューションとして協働ロボットが生み出す価値が大きくなってきています。
締結部品業界最大手のBossard社が実践している「スマートファクトリー・ロジスティクス」ソリューションは、「プロダクト・ソリューション」や「アセンブリ・テクノロジー・エキスパート」とともに、「Proven Productivity(実証された生産性)」エコシステムを形成し、定義するものです。一方で、Bossard社の技術統合力もまた証明されています。その「ラストマイル管理」ソリューションでは、屋内物流を、改善すべき実用的かつ効果的な側面として捉え、物流改善と反復作業のためにMiRの高度な移動ロボット技術と組み合わせています。
Bossard上海物流センタの2台のMiR100ロボットは、その卓越した安全性、柔軟性、およびシステム適応性によって信頼を得ており、ヨーロッパと中国の両チームから確かな評価を得ています。ロボット・ソリューションの助けを借りれば、作業者が移動ロボットと協働するという全く新しい展望が開け、これまで最新のフレキシブル生産では十分に利用できなかった「水すまし」モデルの問題点やボトルネックを解決するのに役立ちます。一方、MiRを他の運用システムと効率的に接続することで、インテリジェントな屋内ロジスティクスがいかに重要であるかに気付かされます。
ビデオ— MiR robot, Bossard Smart Factory Logistics
03 高い安全性がもたらす人と機械のコラボレーションの新たな様相
安全性は協働ロボットの発明の基礎であり、移動ロボットの開発の原点でもあります。
古代の詩は、「最高の山の頂上に立って初めて、他の人が小さいことがわかる」と言っています。MiRの移動ロボットは、世界で最高の最も厳しい安全基準に従って、だからこそ、業界全体で卓越した安全性能を備えているのです。Bossard上海物流センタの屋内ロジスティクスをバックアップする2台のMiR100ロボットがあり、その名前が示すように、製造または倉庫保管において最大100kgの重い荷物を運べます。
実際、中国とヨーロッパのチームは、「偉大な心は同じように考える」という中国のことわざが言うように、どちらも、MiRには驚くべき有望性と可能性があると考えています。欧州チームは、Bossard Fastening Solutions(上海)Co., Ltdのスマートファクトリー・ロジスティクス・マネージャであるEllick Qin氏に紹介されて、2018年7月に欧州の産業安全生産基準を厳密に満たすMiR移動ロボットを最終的に選択しました。ほぼ同じ頃、中国のチームは成都での業界展示会でMiRの自律移動ロボット・ソリューションに出会いました。それ以来、この協力関係は続いてきました。ヨーロッパでの3か月の屋内テストの後、MiRロボットプロジェクトが2018年末にBossard上海物流センタで正式に発足しました。
安全性は以前からMiR移動ロボットの特徴でした。世界トップレベルの高度なナビゲーション技術とセンサ技術により、MiRロボットはさまざまなアプリケーションシナリオで前方の障害物を正確に分析・判断することができます。たとえば、Bossard上海物流センタでは、MiRロボットは、通過する作業員、フォークリフト、その他の機器を自動的に識別し、移動の実現可能性をリアルタイムで予測し、運行ルートを臨機応変に調整しながら、動的な状況下で互に安全な距離を保ち、先を見越して障害物を回避できます。
現代の製造業の柔軟な要求に応える高い柔軟性
信頼できる安全性に基づいた移動ロボットは、実際の生産要件を満たし、屋内物流のボトルネックに対処し、作業プロセスを最適化し、関連する運用コストを削減し、双方がそれぞれの役割を果たす人と機械のコラボレーションのシナリオを作り出すことが大いに期待されています。MiRロボットの柔軟性によって、ロボットは真に効率的な屋内物流ソリューションとなります。
対外的には、MiRロボットはフレキシブルな生産を支援する良い手立てとなります。AGVロボットのように、前もって軌道を敷設するために多額の投資をする必要はありません。配備の柔軟性によって、お客様は多くの時間と、人員、固定費を節約できます。さらに、MiRロボットは操作とプログラミングが簡単です。MiRロボットは、ユーザーフレンドリーなインターフェースにより、異なるバッチの搬送要件に迅速かつ柔軟に対応することができ、インダストリー4.0時代の柔軟な生産とカスタマイズされたサービスに対する市場の要求に非常にマッチしています。
内部的には、MiRロボットは日々の管理を最適化する良い手立てとなります。MiRロボットは、Bossard社での遠距離、多点、高頻度の要求に対して、サンプルのピッキング、サンプルの配送、および補充を柔軟に処理できます。
現在、Bossardの工場に配備されている2台のMiR100ロボットは、それぞれ異なる役割を担っています。1台は展示場に配置され、企業の大使のように「ラストマイル管理」の運用方法をお客様に紹介しています。また、業界の大規模な展示会やセミナーに参加し、最先端の屋内物流ソリューションを業界に紹介しています。
もう1台のロボットはタスクをこなすことに専念しています。常に倉庫と実験室を行き来して、サンプルの配送やサンプリングなどの作業を精力的に行っています。同時に、倉庫と各ステーションの間で、副資材の受け取りや配送などの物流を支援しています。
さまざまな運用システムとシームレスに接続できる高い適応性
Bossard社は、精密製造、エンジニアリング機械、建設、輸送システムのさまざまな顧客に、高品質の締結部品の製品を幅広く提供しています。さまざまな種類、低い個々の価格、組み立ておよび搬送ロジスティクスでの比較的高い隠れたコストといった、締結部品製品の特性に基づいて、同社は、保管から補充まで、インテリジェントな屋内物流の最適化を達成するための、インテリジェントな屋内物流ソリューション「ラストマイル管理」を顧客に提供しています。
MiRロボットが光り輝くもう1つの理由は、その優れた適応性がBossard社のさまざまなシステムと完全に一致することです。「MiRロボットの推奨から、設置、デバッグ、要員トレーニングの完了まで、適用プロセス全体はわずか1週間で完了しました。これは、MiRロボットのさまざまなシステムへの適応性が極めて高いことを示しています」とEllick Qin氏は述べています。
顧客側のさまざまなセンサ付き保管システムに合わせて、締結部品の在庫などの情報はBossard社のクラウドベースの運用システムによって管理され、強力なデータ分析によってARIMSの舞台裏にリアルタイムでフィードバックされ、生産ステーションでの全自動/半自動補充の要求を実現できます。
MiR100は、ARIMSから作業指図を受け取ると、オンラインでARIMSシステムと連携して、倉庫および組立保管エリアで品物を効率的に選択するためのルートをカスタマイズできます。また、実際の状況に基づいて、リアルタイムで調整することもできます。生産ステーションの補充段階では、MiR100はARIMSシステムとシームレスに連携して、材料を運び、「水すまし」の業務に参加して、生産ステーションへの補充を効率的かつ正確に繰り返すこともできます。
また、作業環境が複雑なので、MiRロボットの高い適応性は、Bossard上海物流センタのさまざまな運用状況で際立つメリットになっています。そこでは、ローリングドア、エレベータ、アクセス制御システム、その他の運用要素などが関与するのですから。近い将来、Bossard社は、天津に約3,700m2の面積にわたる新しい工業団地を建設することを計画しています。その時は、屋内物流の要件はより多様で複雑になります。MiRロボットの高度な適応能力は間違いなく、より重要な役割を果たすと考えられています。
多くの分野での協調ロボットの適用が拡大し、深まるにつれて、より退屈で、反復的な、またはリスクの高い機械的操作は、安全で柔軟な協調ロボットが行うように引き継がれて行くでしょう。しかし、人間の価値が置き換えられることはありません。それどころか、人間の作業者は、基本的な仕事から解放された後に、人間の知恵を使用する価値の高い仕事をすることができます。MiRロボットの取り組みにより、屋内物流の効率がさらに促進され、その結果、Bossard社は屋内物流を改善する手本となりました。インダストリー4.0によって創り出されたさらなる人と機械の協力モードのおかげで、非リーン製造によって消耗した効率を取り戻すことができ、したがって、それには産業界全体から期待される価値があります。