KEN HYGIENE SYSTEMS A/S
KEN HYGIENE SYSTEMS社のロボットソリューション、滅菌センタのOHAS(労働衛生自動化システム)を改善
01 要約
世界中の滅菌センタの作業環境は、肉体的に厳しいものです。たとえば、病院の器具が入ったカートを押したり、ラックを持ち上げたりして、消毒洗浄機に出し入れするという重くて時間のかかる作業は、体に負担がかかります。その疲れる作業をロボットに任せて自動化してしまえば別ですが。これこそ、まさにKEN HYGIENE SYSTEMS社(以下、KEN社と略すこともある)が世界に先駆けて実現したことです。同社が開発したAL10ソリューションは、Mobile Industrial Robots製の搬送ロボットを滅菌センタの物流業務に統合したものです。
02 問題と解決策
重いし、うるさいし、ストレスもたまる。世界中の病院の滅菌センタでは、搬送作業はいまだに多くの重量物を持ち上げたり、押したりする手作業が中心です。しかし、もうこのようなことは必要ありません。KEN HYGIENE SYSTEMS社が開発した革新的なロボットソリューション「AL10」は、文字通り負担を軽減し、騒音を減らし、時間を解放できます。
滅菌センタのスタッフがタブレットをタッチするだけで、空の洗浄ラックを載せたロボットを呼び出し、汚れた器具を積み込ませることができます。その後、空いている消毒洗浄機にロボットを送り、洗浄機の中にラックを入れさせることができます。消毒洗浄機には自動的に洗浄サイクルの開始が通知され、器具の洗浄と消毒が終わると、別のロボットが「クリーン」な側に到着し、洗浄機から取り出して、クリーンなラックを梱包台に運んで作業を完了します。ロボットは自動的に充電ステーションに戻り、電池が消耗する前に充電します。
KEN HYGIENE SYSTEMS社のCEOであるJohn Veje氏は次のように述べています。「MiRロボットをベースにして、私たちは世界初の全自動滅菌センタの構築と特許化に成功しました。その結果、当社はこの技術分野で世界をリードすることになりました。他のシステムは、より静的で、より多くのスペースを必要とします。私たちのAL10ソリューションは、価格、柔軟性、人間工学の面で競争力があります。搬送の連携は、衛生管理のプロセスには価値を生み出しません。しかし、これを使えば、ロボットが洗浄機を充填・空にしている間に、スタッフは器具の準備に集中することができ、人間工学的に優れた作業環境が提供され、作業プロセスの流れを改善することができます」
KEN社の開発部門では、MiRとKENの組み合わせは、品質、デザイン、使いやすさを重視したデンマーク発のグローバルな技術パイオニアである2つの企業が見事にマッチしたものであると、エンジニアたちが口をそろえて言います。
「MiRは、私たちとの仕事の関係において、非常に丁寧でオープンな対応をしてくれました。また、デンマークのViborg病院の滅菌センタのスタッフの素晴らしい意見も見逃せません。彼らは新しいシステムを最初に使用し、製品開発プロジェクトにさまざまな建設的なコメントや提案をしてくれました。端的に言えば、エンドユーザーが完成品の設計に直接影響を与えてくれるという約束で、最初のAL10ソリューションを販売したのです。滅菌センタのスタッフは、自動化によって作業プロセスや作業環境が実際に最適化されるためには何が必要なのか、実践で試してくれました」と、KEN HYGIENE SYSTEMS社の開発エンジニアであるSøren Ravnsted-Larsen氏は述べています。そして、こう続けます。
「革新と創造性とは、身近ないくつかのソリューションを新しい方法で組み合わせて、新しい製品を作ることです。私たちはMiRのオープン・プラットフォームに触発され、これこそAL10ソリューションを構築するためのベースとして使うのに理想的な技術だと考えました。私たちの側では、ベルトコンベアを搭載したトップモジュール、ソフトウェアおよびユーザーインターフェースを開発しました。MiRロボットの本当の利点は、人がいるダイナミックな環境で柔軟に走行できることです。つまり、競合他社よりもはるかに静的でないオートメーション・ソリューションを生み出すことができたのです」
ビデオ— MiR robot, KEN HYGIENE SYSTEMS, Denmark
03 驚くほど早い立ち上げ
KEN HYGIENE SYSTEMS社の営業部門にあって、営業部長のBrian Mølmer Pedersen氏は、世界中の病院が抱える課題に直面して、AL10が的を射ていることに疑いの余地はないと考えています。その発売開始からわずか1年で、ヨーロッパの6つの病院がすでに採用しており、アジア、ヨーロッパ、北米の滅菌センタからの問い合わせが絶えません。
「この製品は、お客様が驚くほど迅速かつ簡単に設置できるスタンドアローン製品であるため、非常に競争力があります。実際、私たち自身も、このロボットシステムを使った試運転と立ち上げのしやすさに驚いたほどです。滅菌センタでの搬送プロセスを自動化するのに、1週間もかかりません。これは、ドイツのハンブルグにある病院で実際に見られたことです。そこでは、ロボットが月曜日に到着しました。我々がロボットを設置して、日勤と夜勤のスタッフに使い方を教え、金曜日にはシステムが立ち上がり、スムーズに稼動したのです」と、このプロジェクトの開発エンジニアであるJohn Tvingsholm氏は述べています。
KEN AL10のコンセプトは、市場に革新をもたらす本格的なものであるため、同社はこの技術の特許取得を確実にしています。
「2015年にデュッセルドルフで開催された世界最大の医療技術機器の病院展示会「Medica expo」で、このコンセプトをプロトタイプとして初めて発表したとき、私たちは勝者を得たと確信しました。これほど多くのお客様や競合他社が当社のブースを訪れたことはありませんでした」と、営業部長のBrian Mølmer Pedersen氏は振り返ります。
医療分野や研究所では、スタッフが清潔な部屋と無菌室を行き来する際に、着替えに多くの時間とエネルギーを費やすことがよくあります。ここは、KEN AL10ロボットソリューションがプロセスの最適化に役立つもう1つの分野です。ロボットは着替える必要がないため、均一な物流を確立することが可能になります。
製品開発の観点からは、次のステップとして、KEN社が他の企業と提携して、病棟から汚れた器具を自動で回収するシステムを病院に提供することも考えられます。同様に、KEN社の大型機械や加圧滅菌器をMiRロボットと連動させたシステムの構築も可能でしょう。
KEN HYGIENE SYSTEMS社は、自らのロボット「薬」を服用
KEN社は、自社の生産施設の屋内物流にも自動化を適用しています。ここでは、MiR100ロボットが、溶接部門から組立部門の倉庫まで完成品のカートを押し、空のカートを持って戻って来ます。
「自分たちの『薬』を飲んで、自分たちの物流プロセスの自動化を始めたことは、このテクノロジーのロジックをよりよく理解できるので、良い行動だったと思います。
MiRのロボットは、競合他社の製品に比べてはるかに自律性が高いため、刻々と変化する当社の生産部門の環境で使うのに理想的です。ロボットは、私たちの施設内を安全かつ柔軟に移動します。忙しくてダイナミックな環境の中で、総勢200名がさまざまな建物で働いているため、スペースは限られています。今後、さらに最適化するために、より多くのカートとMiRロボットを導入する予定です」と、KEN Hygiene Systems社のCOO、サプライチェーン・ディレクタであるPeter Eskelund Madsen氏は述べています。