RUNNER
01 概略
中国有数のキッチン用品・衛生陶器メーカーであるRUNNER(厦門)社は屋内搬送とマテハンを、12台の自律型モバイルロボットからなるフリートで自動化しました。フリートはMiR250(6台)、MiR600(2台)などで構成されています。効率的に協業を進めた結果、同社のキッチン用品・衛生陶器インテリジェントマニュファクチャリングセンターは、搬送業務の高精度化・効率化・省力化を実現しました。
02 課題
衛生陶器製品に対する市場の需要には、消費者の志向の変化が明確に現れています。品質、スタイル、エネルギー効率、環境保全など、スマートホームへの消費者の期待が高まるなか、従来の基本的な衛生陶器製品の時代から「技術と独創性」を特徴とする変革の時代へと移行しつつあります。こうした消費者ニーズの変化に伴い、製品のイノベーション、デザイン、製造、供給において新たな要件が生まれています。
03 ソリューション
市場の要求に応えてインテリジェントな変革を遂げる必要に迫られたRUNNER社は、スマートファクトリーの設計と建設に乗り出しました。その目的は生産ラインをインテリジェント化するだけにとどまらず、総合的な自動化を進めるため、従来の現場生産ラインの搬送業務を一新することにありました。
そうした取り組みの最前線が「キッチン用品・衛生陶器インテリジェントマニュファクチャリングセンター」です。同センターは、世界的に有名な多数企業にむけ業務を行っています。
システム
「キッチン用品・衛生陶器インテリジェントマニュファクチャリングセンター」は12台の自律型モバイルロボットからなるフリートを採用しています。フリートは6台のMiR250や2台のMiR600などで構成されています。フリートのロボットは3つの異なるグループに分かれて稼働し、それぞれ異なる機能を備えています。組立部品を棚から台車に持ち上げるロボット、完成品回収するロボット、搬送用パレットを空にするロボットの3つのグループです。各グループのロボットはフリート管理ソフトウェア「MiRフリート」と、ロボット制御システム「RCS3.0」を通じてシームレスに連携します。さらに、ロボットはRUNNER社が独自に開発した搬送管理システム(TMS)と統合されています。統合することで、周囲の製造実行システム(MES)や倉庫管理システム(WMS)と情報を自由にやりとりできるようになりました。その結果、生産ラインの情報を共有しハードウェアを効率よく配備できるようになります。そのためフリートと最優先すべき作業を行っている生産ラインをうまく連携させ、円滑にスケジュールを立てて、フリートを効率的に使うことができるのです。
現在の配備シナリオのもと、MiRのAMRは12時間以上もの稼働時間を実現しています。また、組立部品1セットあたりの搬送回数は1時間あたり最大8回に達するほか、完成品の回収回数は1時間あたり4回にのぼります。
MiRのAMRが持つ柔軟性と順応性
キッチン用品や衛生陶器産業の組立現場では、搬送拠点と加工場所が点在していることが多く、生産ラインが単一製品専用でないことも珍しくありません。むしろ現場は複数の小規模な作業場で構成されています。こうした特徴から、材料や完成品の搬送ソリューションはそのときどきの変更に即座に応じてワークフローを調整できることが求められます。MiRのAMR導入には、レール設置など既存の現場環境の変更は一切必要ありません。AMRはすべて高度なレーザースキャン技術、3Dカメラ、内蔵センサー、高性能なソフトウェアを備えています。こうした機能によって、経路上の環境を分析し効率よく障害物をよけ、リアルタイムで能率的に経路を計画・調整できるのです。AMRは作業環境やタスクの変更に順応する上で、非常に柔軟です。MiRのAMRのインテリジェントな柔軟性は、従来の無人搬送車(AGV)やフォークリフトと比べて大幅に進化しています。
現場に起きた変革
従業員スキルのインテリジェント化という面では、RUNNER社は従来搬送業務に携わっていた従業員の大半にAMR操作スキルを習得させることに成功しました。これには、扱いやすく直感的に使えるというMiRのAMRの特長が貢献しました。MiRのAMRは、Webページやインテリジェント機器からシームレスに操作できます。グラフィカルなプログラミングインターフェースは視覚的で直感的に使えます。そのためプログラミングの経験がない現場作業員でもすぐに使い始めることができるのです。MiRの技術サポートチームと代理店のXiamen Jing Rui Precise Equipment 社の支援のもと、作業員は数日のトレーニングでAMRの操作方法をすっかり身につけました。
AMRが幅広く導入されれば、作業員の仕事の負担は大幅に軽減され専門スキルも向上します。また、他の分野の製造業と同様、RUNNER社は新たな人材の確保に困難を抱えています。しかしインテリジェントファクトリーが完成し、安全な労働環境の確立やタスク自動化が完了した現在、同社は若者にとって魅力ある存在になりました。
RUNNER社は、ロジスティクス自動化への投資は必ず2、3年以内に回収できると自信を持っています。
また、このソリューションをグループ内の他工場やパークに拡大する予定もあります。インテリジェントファクトリーは今後さらに増える見込みです。
RUNNER社は国内流通に重点を置き、「二重流通」の概念を推進しています。そのため、厦門、漳州、寧波、上海、台北、タイ、アメリカなど、さまざまな場所に生産拠点や海外法人を設立しました。こうした戦略的展開を通じて、グループをさらに発展させることを目指しています。